M.M PROGRESS 第二章


 この「PROGRESS 第二章」は先に発売された「PROGRESS 第一章」の続編となっております。その為レビューには「PROGRESS 第一章」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

・「PROGRESS 第一章」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。























































































シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 8 - 79 3〜5 2015/6/23
作品ページ サークルページ



<彼女の意思を受け止めて前へ進むこと、それが紺野珠樹の成すべき事だと思います。>

「正しさの証明は結果があって初めてなされる」

 物語終盤、紺野珠樹が地下の実験室にたどり着いた時に時宮折子が放ったセリフです。この言葉は残酷にも世の中の心理なのだと思います。過去の歴史を紐解けば一目瞭然ですね。当時はどんなに悪政だと思っていたとしても、そのおかげで豊かな未来が実現できたとしたらそれは悪政ではないのです。最近ですと江戸時代末期の維新側と幕府側の対立が分かり易いと思います。自分達が仕えてきた幕府が絶対であった東北の藩士にとって維新側の主張はまさに敵だったのだと思います。ですが現代の私たちは必ずしもそうは思いません。結果外国の文明や思想を取り入れ現在の日本が形作られたのだとしたら、それは維新側の人達の功績です。幕府側は逆賊です。大事なのは、今自分がとっている立場や行動にしっかりと信念を通すことだと思います。結果それがどうなるかは分かりませんが、少なくとも後悔することは無いのだと思います。

 時宮折子には確信と信念がありました。それは新エネルギーの開発は将来の地球の産業に歴史的転換をもたらすと。そしてそれは地球の文明を加速させるものであり、必ずやプラスの方向へと傾くと。だからこそ思ったのでしょうね。そんな地球規模の転換にとってたがか数十人数百人の犠牲は微々たるものであると。今自分が行っている研究の結果何人かの人格が崩壊し何人かの命が失われても構わないと。そしてそれが母親の意思を受け継ぐことであり自分がやらなければいけない信念であると。その想いは大変強いものであり、誰も止めることは出来ません。彼女には確信があるのですから、自分の信念を否定する必要がないのです。後は結果がどうなるか。未来のみが彼女の行動に審判を下すことが出来るのです。

 そして時宮折子と同様に紺野珠樹にも信念がありました。自分が学校の教育実習生である以上生徒には誰一人として傷を負わせない、たとえそれが社会的に仕方がないと思われるような事であったり上司の命令であっても同様である、と。実際のところ元レッド・アイズ及び《F》のメンバーのプログレスは相当のものであり、紺野珠樹一人で立ち向かうには荷が重すぎました。それでも自分の信念を信じている限り彼は止まることはありませんでしたね。第一章の時から思っていましたが、紺野珠樹の魅力はやはりその真っ直ぐな正義感だと思います。一貫して曲げない正義感は今回のメインヒロインである朝ヶ丘百合の心を動かし、也絵種と共に也絵穂積を救うための原動力となりました。

 それではそんな相反する2人の信念がぶつかった結果何を失ったのでしょうか。結果として失ったのは、朝ヶ丘百合の人格ただ1つでした。時宮折子は新エネルギーの結晶化に成功し、パンゲア計画は一歩前進しました。紺野珠樹は教育実習生として生徒を守り、誰1人死ぬことはありませんでした。外から見たら奇跡とも思えるような結末です。そう、朝ヶ丘百合の人格以外は何も失わなかったのです。ですが、朝ヶ丘百合の人格を失ってしまったのです。なにも朝ヶ丘百合の体が消えたわけではありません。本来の人格である時宮百合が3年の時を経て取り戻し、結果として正常に戻ったのです。ですがそんな理屈では説明出来ませんね。自分を支え自分を愛してくれた存在がいなくなったのですから。この時紺野珠樹が言ったセリフがとても心に残っております。

「生きている一つの個性」

 本当に紺野珠樹という人物は真っ直ぐで正義感にあふれてますね。朝ヶ丘百合を肯定するという事は時宮百合を否定するという事なんです。自分にとって付き合いの長さが違うだけでどちらも紛れもない一人の人格なんです。それが分かっているから、紺野珠樹は時宮百合を否定できないんです。この葛藤は相当のものだと思います。この気持ちは、時間しか解決してくれないのでしょうね。ですが朝ヶ丘百合は完全に消えた訳ではありませんでしたね。貝の佃煮、そんな一言に紺野珠樹は救われました。自分が慕った朝ヶ丘百合という存在、3年間必死に生きた朝ヶ丘百合という存在の欠片を見出すことが出来て、本当に彼女と紺野珠樹は救われたのだと思います。さて、いつまでも後ろを向いていてはいけませんね。これからも《F》の襲撃は続きます。自分が所属している会社や世界を巻き込んでの戦争です。どんな結末になるか楽しみですね。

 最後にその他の部分についてです。第一章同様スピード感のある戦闘描写には目を見張りました。今回は登場人物も多かったということで、各人物にカットインがあって嬉しかったです。加えてそんな戦闘描写を彩るBGMの躍動感も耳に残りました。シンセサイザーバリバリのテクノ、こういう作品はピッタリですね。熱い展開と心を揺さぶる展開と全てにおいて妥協しない演出は同人とは思えないクオリティでした。ありがとうございました。

 まあ個人的には種ちゃんのおっぱいにやられたんですけどね。あの素直さでロリ巨乳とか反則でしょう。《F》って種ちゃんのFカップの事なんでしょう!?ていうか中学三年でEカップ以上って……!あぁ!もう!完全に俺を殺しに来てる……!あれはズルい!超どストライクでした!ありがとうロリ巨乳!ありがとうあいうえおカンパニー!


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