M.M オタサーの姫に告られた結果wwwww




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
7 8 8 78 4〜5 2015/5/17
作品ページ(R-18注意) サークルページ(R-18注意)



<いま話題の「オタサーの姫」の魅力たっぷりのシナリオとHシーンに大満足です。>

 この「オタサーの姫に告られた結果wwwww」という作品は、同人ゲームサークルである「HARTHNIR」で制作されたビジュアルノベルです。この作品は割と世の中的にも注目されていた気がします。HARTHNIRさんと言えばもはやエロ漫画業界では知らない人はいないであろう「みさくらなんこつ」さんのサークルです。そのみさくらなんこつさんがゆにっとちーずさんのシナリオライターである山野さんを引っ提げて、今何かと話題のオタサーの姫を題材にしたビジュアルノベルを世に送り出すのですから話題にならない筈がありませんね。限定版はなんと抱き枕カバーもついておりまして、HARTHNIRさんの本気を伺えます。

 「オタサーの姫」という言葉が本格的に流行りだしたのはいつぐらいでしょう。明確な定義はありませんでしたが、割と数年前から存在はしていたジャンルだと思っております。去年ぐらいですかね、本格的にオタサーの姫という言葉そのものが流行りだしたのは。去年のコミケでもオタサーの姫をテーマにした同人誌を多く見かけましたし、これだけブレイクするという事はやはり何かしら世の中の人に思うところがあってこそだと思っております。いわゆる「サークルクラッシャー」と呼ばれるものと似ておりますね。色恋沙汰でメンバー間の争いになり、サークルそのものの活動が維持できなくなる。取り分けその台風の目となっている女の子をオタサーの姫と呼ぶようになりました。そんな非常に不穏な空気を感じるオタサーの姫を題材にしたという事で、勿論綺麗で美しい物語になるはずがありませんね。プレイしようと思っている方はそれなりの覚悟が必要なのは言うまでもありません。

 主人公である飯島尚樹は現代メディア研究部と呼ばれる、いわゆるオタクサークルのメンバーです。広く浅くオタク知識を持っておりますが、中々本気でハマりきれていない今風の学生です。そんな主人公とは対照的に他のサークルメンバーである野崎、平沢、辻はそれなりに個性があり、そんな3人を陰で見下しながらもどこか羨ましく思っておりました。そんな現代メディア研究部に1人の女の子が加入してきました。それが今作の台風の目である本多美憂です。見た目も可愛らしくオタクなサークルメンバーに対して差別することなく愛嬌振りまいて接してくる姿に、サークルメンバーはもう首ったけです。それでも飯島尚樹はそんな3人+美憂の事を一線引いた目で見ておりました。物語はそんな主人公と美憂が部室で2人きりになるところから動き出します。

 この作品の見所はもう言わずもがな、オタサーの姫である本多美憂の中心とした人間関係のドロドロ具合ですね。公式HPをご覧になれば分かりますが、もう主人公飯島尚樹の醜い内面がダダ漏れです。表向き仲良くしていても、それがいつまでも続くはずがありません。そして台風の目である美憂もどうやらロクでもない性格のようです。可愛いのは自分、チヤホヤされることに生きがいを感じているような性格のようです。こんな2つの爆弾を背負ったサークルです。一度火がつけば爆発するのは明白です。是非彼ら彼女らがどのように壊れていくのかを見届けて欲しいですね。そしてそんな人間関係とは別にこの作品は18禁としてもとても魅力があります。何しろみさくらなんこつですからね。本多美憂が可愛いのは絶対的に間違いありませんし、Hシーンの数はかなりのものでした。シナリオを楽しむのは勿論ですが、それとは別に本多美憂の様々なシチュエーションを眺めるのも一興ですね。ああ、ここまで醜態を晒してこそオタサーの姫だな。と思うと思います。

 プレイ時間ですが私で4時間30分程度掛かりました。この作品は選択肢が幾つかありまして、結果でEDもいくつかに分岐します。選択肢はご覧になれば分かりますが非常にわかり易いものです。プレイヤーの望むままに物語を進める事が出来ます。そしてこの作品の特徴として、2週目以降に解禁される裏アカシステムというものがあります。これはヒロインである本多美憂がTwitterで呟いている物をリアルタイムで覗けるというもの。表向きでは可愛い美憂が裏でどんなことを考えているのか覗ける大変面白いシステムです。是非、美憂がどれだけ狂っているか見て欲しいですね。2週目の裏アカシステムまで全て読み込んで4時間30分のプレイ時間です。という訳でいま話題のオタサーの姫を題材にしており、その魅力を思う存分つぎ込んだ作品となっております。現在全国の同人ショップで品薄となっているようです。それだけ多くの方がプレイしているということだと思います。まだプレイされていない方も是非この流れに乗ってプレイしてみてください。オススメです。


→Game Review
→Main


以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<ああ、自己愛って本当に大切で本当に恐ろしい!>

 どうしてこんな結末になってしまったのでしょうか。飯島尚樹が自分の安全ばかり考えていたから?本多美憂が自分が愛される事しか考えてなかったから?周りのオタク共が揃って本多美憂に復讐しようとしたから?恐らくそれら全部の要素が不幸な絡み合いをしたからなのだと思います。彼らはきっと出会ってはいけなかったんですね。裏アカの最後でも美憂は呟いてました。一生分かり合えないと。きっとこの結論にたどり着くまでの物語だったのかなと思っております。

 私、作中で言われている程飯島尚樹は腐ってる奴だとは思っておりません。やっぱりどんな人間でも自尊心や自己愛というものは存在します。ましてや飯島尚樹は過去に苛められておりました。裏アカで出てきた謎の物語、あれはきっと飯島尚樹の私小説の一部なんだと思います。そうだとすれば、相当にひどいいじめを受けた事になります。あんないじめを受ければ、性格も多少歪みますよ。自分が一番大事で自分の安全を守りたいと思うのもまあ理解できると思います。実際飯島尚樹は現代メディア研究部の事を居心地がいいと言ってました。まあ多少射に構えた屁理屈でサークルメンバーの事を思ってましたが、そこまで表立って声にしていたわけでもありませんし、あのままでもそれなりのサークル活動は出来ていたのではないかと思います。ですが、その絶妙なバランスを本多美憂が壊したのです。

 どこかで読んだのですが、オタサーの姫がサークルクラッシャーになる一番の理由は「思わせ振りな態度を取ること」らしいです。作中確かに本多美憂は飯島尚樹に迫りました。ですが一度たりとも飯島尚樹の事を好きだと言いませんでした。これはきっと好きだという事でそれが自分の弱みになる事を知っているからです。彼女の目的はみんなかわ可愛いと言われること。可愛いと言われるなら体など安い物でした。好きになんかなっていなかったんです。思わせ振りな態度を取って、一生自分の事を可愛いと言ってくれる存在が欲しかっただけなんです。結果、本多美憂は平沢や辻とセックスをし、その事実を隠しながら飯島尚樹とも体の関係になりました。ですが、オタクな男子学生がその事を人に言い触らさないはずがありませんね。あの飲み会での暴露大会から、少しずつヒビが入っていったのです。

 作中では、本多美憂に復讐を誓った3人に対し飯島尚樹が未だに彼女との関係に固執する姿を「異常」であると表現しておりました。事実本多美憂との関係が露呈された男諸君は飯島尚樹に対して嫌悪感を持つようになり、また本多美憂も暴力を振るい彼女面する飯島尚樹を異常と言ってました。ですがどうでしょう、私にとっては集団で女の子をレイプし精液付けにする3人も充分異常だと思いますし、そんな体だけの関係を積極的に求め唯のビッチに成り果てた本多美憂も充分異常だと思います。むしろ直接的には飯島尚樹が一番まともじゃないかと思うほどです。まあ、最後に店の中でペットボトルをケツに指し放尿させる様子は流石に弁護できませんけどね。あの当たりの飯島尚樹は壊れてましたからね。壊れていたというよりも、周りの人間が壊したんですねきっと。異常なセックスを繰り返す3人とそれでも思わせ振りな態度を取る本多美憂。自尊心の塊である飯島尚樹が彼女に自分が彼氏として印象付ける方法はあれしかなかったんですね。

 それでもやはり一番壊れているのは誰かと聞かれれば、やはり本多美憂なのでしょうね。可愛いと言われる為ならなんでもする、例え自分や他人を傷つけても。この思想は本当に危険ですね。サークルなんてどうでもいいんです。自分の居場所が無くなったと思えば他に乗り換えればいいんです。そうやって彼女は渡り歩いてきたのです。もしかしたら、どのサークルにも飯島尚樹くらいの歪んだやつはいたのかも知れません。野崎、平沢、辻くらいの性格の奴はごまんといます。そんな彼らの醜い姿を炙りだしたのが本多美憂の天性の自己愛。そうやって彼女は一生愛されることを求めて彷徨うのだと思います。3つのエンディングのどれもが救いのないものでした。グッドエンドでも飯島尚樹が少しでも嫌悪する素振りを見せた瞬間、本多美憂との関係は終わります。ノーマルエンドでは飯島尚樹の自尊心の崩壊と愛されることを求めて彷徨う本多美憂の姿が描かれております。バッドエンドは愛されるために人間である事を捨てた成れの果ての姿です。ああ、自己愛って本当に大切で本当に恐ろしい!行き過ぎた愛情は狂気になる、そんな生々しい姿とその結果もたらされる寂しさを堪能させて頂きました。

 最後余談ですが、声優である花澤さくらさんの演技は迫真でした。冒頭の男に媚を売る姿はもうオタサーの姫そのものでした。「こんこん!こんこーん!」「やぁのやぁのっ!」「泣いちゃうよ」「生理の前は涙が出やすくなっちゃうの」「くちゃいくちゃいよぉ」どれも名演技でした。特にバッドエンドでの独白は思わずクリックする手が止まってましたからね。あとはやはりアナルが美しかったですね。思い返せば半分はアナルだった気がします。特に文芸部とのカラオケでのアナルセックス!まさにこの作品の集大成ですね。そして裏アカシステム。これを見ずしてこの作品は完成しませんね。あれだけ散々な目に遭っても翌日にケロッとしている美憂に恐怖すら感じました。飯島くん良かったね!減点方式だけど最後に認められて!とにかくオタサーの姫と言いますか、サークルクラッシャーの真の恐ろしさを味わった気がします。欲望に突っ走るか仲間との絆をとるか、私だったらどうするんでしょうね。ありがとうございました。


→Game Review
→Main