M.M ぽんぽんランド




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
5 6 - 71 1〜2 2023/11/19
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<気が付けばぽんぽんに取り込まれてしまう、そんな魅力がこの作品にはありました。>

 この「ぽんぽんランド」という作品は同人サークルである「えるりんご」で制作されたビジュアルノベルです。えるりんごさんの作品はこれまでいくつかプレイさせて頂き、今回で6作目となります。ぽんぽんランドはC102で頒布され、私も売り子として手伝わせて頂きました。実はその時はまだプレイしておらず、私とcrAsmの倉下さんで行っているビジュアルノベルオンリーの中で紹介してはどうだろうかという提案を受けました。その為本日までずっとプレイを温めていた経緯があります。ぽんぽんランド、タイトルから分かる通りストレートな内容です。パッケージの表紙には大きなおなかを出している姿が映っており、あらすじを読みますと主人公は無類のぽんぽん好き見たいです。この作品を通してぽんぽんの素晴らしさに目覚める事が出来るのでしょうか、楽しみにプレイし始めました。

 主人公である隆三(りゅうぞう)は、子どもの頃に触ったお父さんの大きなお腹を忘れる事が出来ませんでした。弾力がありながらそれでいて柔らかい感触、全てを包み込む温かさ、それは隆三にとって父との大切な思い出でありぽんぽんとの出会いでもありました。それから年月が経ち社会人となった隆三は、母親の再婚を切っ掛けに尾仲(おなか)さんと出会います。尾仲さん、その名前の通りとても大きなお腹をもった家族でした。兄の望(のぞむ)、弟の均(ひとし)、そしてお父さんの大伍郎(だいごろう)は全員がぽんぽん、これこそが隆三の求めていた世界だったのです。ですが、隆三は自分の理性を抑える事が出来ず欲望のままにぽんぽんに手を伸ばしてしまいました。自分のおなか目当てにやってきたと思われてしまった隆三、果たして合法的におなかを触る事が出来るのでしょうか?

 皆さんはぽんぽんが好きですか?世の中的には、正直ぽんぽんはあまり歓迎されていないと感じております。肥満である事は生活習慣病のリスクを高め、また海外では肥満である事を理由に自己管理が出来ていないと判断され重要な職責に就く事が出来ない事例もあるみたいです。健康である事に対して肥満は大敵であり、多くの人は避けようとします。ですけど、個人的にぽんぽんはそんなに悪いことだとは思っていないんですよね。これまで様々なぽんぽんを持っている方と会ってきましたが、多くの人は大らかで小さなことなど気にしない性格でした。また私は吹奏楽を嗜んでいるのですが、私が担当しているTubaの上手な人にはぽんぽんな人が多い印象です。おなかが大きければ、沢山息を吸えますからね。日本の国技である相撲の力士も大きなお腹を持っております。ぽんぽんは必ずしも悪ではない、それは間違いないと思います。好きか嫌いかは好みですのでノーコメントですが、ぽんぽんが好きな人がいるのはそこまで変な事では無いと思っております。全ての女性が筋肉好きでないのと同様ですね。好きなものに正直なのは大切だと思っております。

 この作品は、とにかくそんなぽんぽんの魅力を前面に押し出しておりました。プレイ開始1分で初めて登場するスチルが、画面いっぱいの大きなお腹ですからね。思わず「おお……」と唸ってしまいました。この作品の方向性が確定した瞬間でした。その後は、ぽんぽん好きの隆三のペースに巻き込まれる勢いで尾仲さん達のぽんぽんに取り込まれていきます。初めて大伍郎のスチルを見たときに「でっけぇ!!!」って思ったのですが、プレイ終了するくらいになると何故か自然に思ってしまったんですよね。気が付けばぽんぽんに取り込まれてしまう、そんな魅力がこの作品にはありました。ぽんぽんが特別好きでないあなたも、是非この作品を通してぽんぽんを好きになってみて下さい。

 プレイ時間は私で1時間10分掛かりました。選択肢によって、兄の望と弟の均のルートに分岐します。この作品はぽんぽんの魅力を前面に押し出す作品ではありますが、プレイしていく中でそう単純な内容で終わる訳ではなさそうです(この辺りはネタバレになりますのでここでは割愛します)、ぽんぽんである事は良いことだけではありません、それは実際にぽんぽんだった時期を経験している皆さんにとって覚えがあるのではないでしょうか?そうした肉体的な面だけではなく精神的な面も通して、まるごとぽんぽんの魅力に迫ってくれます。ぽんぽんランドとは何か、是非その結末を見届けてみて下さい。現在ふりーむ及びノベルゲームコレクションにて無料でダウンロード出来ます。また次回のコミックマーケットでは設定資料集の発売も予定しているみたいです。あなたも、ぽんぽんランドを通して是非素敵なぽんぽんライフを送ってください。楽しかったです。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<隆三、基本的に最低なんですけどその真っ直ぐさは正直羨ましいと思いました。>

 最後までプレイしましたけど、隆三は本当にぽんぽんが好きなんですね。というよりも、隆三は自分の欲望に本当に忠実ですね!好きな事に真っすぐな人は、ある意味最強だなと思わせてくれました。

 ネタバレ無しでも書きましたが、ぽんぽんである事は必ずしも世の中で受け入れられている訳ではありません。健康上のリスクはありますし、自己管理が出来ていないという印象を与えてしまいます。今作でも、望も均も周囲からの圧力で自分の存在意義を失いかけておりました。ぽんぽんである事は、確かに短距離走では不利かも知れません。体重がありますので当然動きは鈍くなってしまいますね。ですけど、人間活躍できるのは短距離走だけではありません。途中にもありましたが、もし今年の運動会に綱引きがあれば均は悩みを抱える必要などなかったかも知れません。結局のところ、個人で得意不得意はありますので本当は気にする必要など無かったんです。もちろん小学生ですので、言われた言葉に素直に傷付きますしダイエットしたくなるのも分かります。誰もがこうした光景を実は見てきたのではないでしょうか。

 望に至っては完全に言いがかりです。クラスで最も勉強ができる望は、むしろクラスの中で称賛されるべき立場だと思っております。ですけど、周囲からの反応は妬みや僻みでした。そして、その妬みや僻みは勉強とは全く関係ない事柄に向けられます。それがぽんぽんでした。ただぽんぽんであるという事だけでいわれの無い誹謗中傷に晒されてしまった望は、もはや勉強を頑張っても意味がないと思ったのかも知れません。結局のところ、いじめっ子は望がぽんぽんでなければ別の事柄を指摘してイジメるだけですからね。ぽんぽんで無ければメガネとか言ってイジメていたと思います。そんなものなんですけど、まだ中学校の望にとっては簡単に受け流せる事柄ではありませんでした。これも、誰もが一度は目にした事がある光景だったのではないでしょうか。

 ですがこれら望や均が抱えてた悩みに対して隆三がとった行動は、なんと自分の欲望を守る為に屁理屈をこねて望と均のぽんぽんを無くさない事でした。均であれば、ぽんぽんのままに短距離走の練習をして足を速くする事でした。痩せるんじゃなくてそのまま短距離走の練習をする、順番が正しいかどうかは分かりませんが自分の欲望に忠実でした。望に至っては、「ぽんぽんは素晴らしいだろう!」と開き直りいじめっ子にぽんぽんの素晴らしさを力説しました。ぽんぽんである事の言い訳を言うのかと思ったら、真っ向勝負でぽんぽんの素晴らしさを騙るんですからね。これが隆三のぽんぽん愛ですよ。出所は自分の欲望なので基本的に最低だと思いますけど、好きな物に正直で真っすぐである事は一本折れない芯があるという意味で素晴らしいなと思いました。最終的に均は短距離走で結果を出し、望は逆にクラスメイトがぽんぽん好きになって困る羽目になりました。これが隆三式のぽんぽん術でした。

 この作品はぽんぽんの素晴らしさを伝えたい作品でありましたが、同時に自分が好きな物には素直に向き合う事の大切さを伝えたい作品だったと思います。隆三、本当に最低ですよ。短距離走で早くなりたいからぽんぽんを減らすという均に対して「駄目だよ!」と言ったのは、均の事を気遣ったんじゃありませんですからね。望がいじめられている姿を見て庇ったのは、望を守るんじゃなくていじめっ子の思考を矯正する為ですからね。基本的に自分の事しか考えていないのが隆三、だからこそ今回みたいな結果オーライに繋がったのかも知れないですけどね。これだけ好きなものに正直に生きられたら、人生楽しいでしょうね。私も人に迷惑を掛けない程度で、隆三みたいに自分に正直に生きたいと思いました。割と人生観を考えさせられる内容で楽しかったです。ありがとうございました。


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