M.M Please call me...?
シナリオ | BGM | 主題歌 | 総合 | プレイ時間 | 公開年月日 |
3 | 6 | - | 60 | 〜1 | 2020/2/1 |
作品ページ | サークルページ(Twitter) |
<男女2人の言葉遊びを、決して急がず是非皆さんの読み易いペースで堪能してみて下さい。>
この「Please call me...?」という作品は個人で同人ビジュアルノベルを制作している「ハルノサクラ」氏が制作されたビジュアルノベルです。ハルノサクラ氏の作品をプレイしたのは今作が初めてで、切っ掛けはTwitterでフォローして頂いた事でした。レビューをご覧頂き、合わせてビジュアルノベルを制作されている方だと認知しました。その後C97に参加されるという事で、一度ご挨拶したいと思いお話しできた事を昨日の様に覚えております。その時に頂いたポストカードからダウンロードさせて頂いたのが今回レビューしている「Please call me...?」です。タイトルだけではどのようなシナリオなのか全く分かりません。簡単に出来る短編という事ですので、どれどれとじっくり読もうと思いプレイし始めました。
Twitterの方にも書かれておりますが、この作品はプレイ時間15分を想定しております。もう本当にあっという間に終わってしまいますので、あらすじだけでネタバレになってしまいそうです。登場人物はとある男女の学生です。そして、女の子から唐突に「Please call me...?」と男の子に問い掛けします。「...」に入るものは、直接物語を読んで確認してみて下さい。この作品は、そんな些細な問い掛けから始まる言葉遊びが最大の魅力だと思っております。言葉遊びの中に見え隠れする学生らしい照れや興奮、そしてその上で起こるちょっと不思議な出来事が何とも言えない読後感を与えてくれます。読み終わってしみじみと頷いてしまう、味わい深い内容でした。
またヒロインは立ち絵があり快活そうな様子が印象的です。ボイスはありませんがボイスが想像できてしまうキャラクターが魅力でした。主人公も、どこか斜に構えそうでありながらいざという時はちゃんと動いてくれる、そんな学生らしい人物像に思えました。個人的にはBGMがかなりのお気に入りです。この作品は冬を舞台としているのですが、雪が降っている時に流れるピアノ曲が特に好きです。他にもとぼけている時に流れている時が本気でとぼけていて、そんなメリハリのついたギャップにセンスを感じました。
プレイ時間は私で10分でした。もう本当にあっという間に終わってしまいますので、本当のんびりとプレイしてみて下さい。むしろ、言葉遊びが魅力ですのでじっくり読んだ方がきっと印象に残ります。逆に、リズム良く読む事の方が大切かも知れませんね。少なくとも、決して急がず自分のペースで読んで下さい。物語のオチに、絶対にホッコリすると思います。こういう作品が、良いテキストの作品なんだなと思いました。ありがとうございました。
以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。
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<素直にこの2人の関係性が羨ましい、言葉遊びが出来る間柄が素敵だと思いました。>
素直に頭が良いなと思いました。「Please call me taxi ?」から始まる英語のトンチを物語のオチに使い、雪が降ってきたからそれを露に見立てて芥川ごっこを展開する、知識と頭の回転が無いと絶対に展開できない会話だと思いました。そんなテキストが読めただけで個人的には満足です。
まさか、今目の前で会話をしていた田中若菜が実体でないとは思いもしませんでした。言葉遊びだけでも十分作品として成立していたのに、そこにこんな展開を持ってくるなんて思いもしませんでした。しかし、10分というプレイ時間の中である意味詰めすぎと言いますか、それこそ作品の中でも言っておりましたが蛇足感は否めませんでした。いや、むしろ蛇足感を感じるからこそオチとして成立しているのかも知れませんね。実体のところ、あの夜に会話した田中若菜が幽霊なのか生霊なのかなんてどうでも良いですからね。本物の田中若菜は生きていた、最後に「Please call me a taxi ?」で落とす構成だけで十分でした。隅々まで堪能出来る内容だったと思っております。
あと、素直にこの2人の関係が羨ましかったですね。実際のところ、田中若菜は割と命の危険にさらされてましたので冗談なんて言っている場合ではなかったはずです。それでも、当たり前の会話をして場を和ませてその流れで病院に向かうこの以心伝心な間柄に驚きました。信頼している証拠なのでしょうね。付き合っている間柄ではなさそうですが、そういった分かり易い関係性では語る事が出来ない絆があるように思えました。そうでなければ、暫くは車椅子生活を送る田中若菜のタクシー役は勤めませんからね。こんな感じで、いつもこの2人は言葉遊びをしているのだと思いました。
物語途中、闇なんて意外と大したことないと言っておりましたが、これはきっと隣に櫛田がいたからですね。きっと1人だったら取り乱していたのではないかと思っております。交通事故に合い、携帯電話も無くし、そこに櫛田が通り掛って本当は泣きたい位嬉しかったのではないかと思います。それでも泣き顔なんて見せるのは恥ずかしいから、いつもの言葉遊びでお茶を濁す、可愛いじゃないですか。素直に羨ましい、そして面白いテキストを堪能させて頂きました。楽しかったです。