M.M おとまり恋人ロリータ




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
5 7 - 71 1〜2 2017/3/26
作品ページ(R-18注意) サークルページ(R-18注意)



<「あ、自分ダメな事してる」っている背徳感と罪悪感が消えたとき、それがだめな大人になった証です。>

 この「おとまり恋人ロリータ」という作品は同人サークルである「夜のひつじ」で制作されたビジュアルノベルです。夜のひつじさんの作品はこれまで8タイトル程プレイさせて頂き、様々なシチュエーションや舞台を扱った18禁の物語を楽しませて頂いております。夜のひつじさんの特徴は3〜4時間程度でプレイできるお手軽なボリュームと上でも書いた多彩な設定のシナリオです。加えてイベントの度に新作を頒布しており、その継続性にも感心しております。それでいてHシーンの数は非常に多いですので実用性という意味では十分です。現在全ての作品がDL販売されておりますので、是非あなたのお気に入りの1本を見つけて欲しいですね。

 今回レビューしている「おとまり恋人ロリータ」は、最近夜のひつじさんで展開しているロリータシリーズの第3弾です。私もロリータシリーズ第1弾である「相思相愛ロリータ」とその続編である「相思相愛ロリータの生活」、第2弾である「ゆびきり婚約ロリイタ」の計3本をプレイさせて頂きました。どれも小学生を思わせる本当に小さな女の子が登場し、その背徳感はだめなおとなになる為の最速の手引きですね。ちなみに基本的にそれぞれのタイトルに繋がりはありません。どのタイトルからプレイしても大丈夫です。社会人となり日々の忙しい生活に磨り減ったあなたにこそプレイして欲しいです。現実では決して許されないシチュエーションに、せめて画面の中だけでも浸ってみては如何でしょうか。

 これまでロリータシリーズをプレイした事のある方であれば分かるかと思いますが、この作品はあらすじを語ることに殆ど意味はありません。元々は他人だった主人公とヒロインの女の子、その2人がどのようにして出会いどのようにしてHする関係になるのかを楽しむのもまたロリータシリーズの醍醐味です。現実では有り得ないシチュエーションですけどひょっとしたら自分にも同じような出来事は降りかかってくるかも知れない。そんな期待と妄想を行き来させるシナリオがミソとなっております。そして一度体を重ね合わせたらもう直滑降です。どこまでも2人だけの美しく神聖な世界が続いていきます。その為前半は18禁を感じさせない純愛な美少女ゲーの様相であり、そのギャップもまた楽しみです。

 Hシーンは今作も10以上収録されておりました。主人公から求める時もあればヒロインから求める時もあり、その姿はまさに恋人そのものです。何よりもまだ毛も生えていないような女の子とHする訳ですからね。「何だかんだ書いてあるけど本当にHするの?」って思ってるあなたに最適かもしれません。本当にHするんです。しかも1回や2回ではありませんからね。この背徳感はクセになります。むしろこの背徳感に慣れてしまってはいけないと思いますね。ダメなことしてる……っている感覚と罪悪感をいつまでも持ち続けたい、ロリータシリーズのHシーンを見る度にそう思ってしまいます。

 その他BGMやシステム周り、背景描写はこれまで通り非常に安定しております。特に「恋愛中出しロリユートピアノベル」の名前に相応しいピアノを中心とした穏やかなBGMは、決して自己主張はしませんけどスッと心の中に入ってきます。実は今回の「おとまり恋人ロリータ」においてピアノは重要な意味を持っております。シナリオに関係してくるという事です。このピアノはただBGMとしての意味だけではない、そう思ったとき何か特別な旋律に聴こえてきます。是非そんなピアノのBGMにも注目して頂き、至高の雰囲気を味わって欲しいですね。

 プレイ時間は私で1時間55分でした。選択肢は無く、分岐などを気にせず真っ直ぐにエンディングまで向かう事が出来ます。上でも書きましたが10以上のHシーンがあり実用性は十分です。是非雰囲気を楽しみながら2人の恋人生活を覗き見してみてください。最後までプレイし終わったとき、きっと立派なダメ大人になっている事でしょう。現在ダウンロード版も発売しておりますのですぐプレイしたい方はそちらがオススメです。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<大切なのはだめな大人になるという勇気。その勇気の先に、ロリユートピアは待っているのです。>

 ロリータシリーズの特徴として、哲学的な言い回しをふんだんに取り入れて自分の行動を正当化させている部分があると思っております。ここでいう正当化とは、いたいけな少女と愛し合っている事への言い訳という意味です。もちろん誰に言い訳する必要もありません。彼らの愛情は本物であり、誰も口出し出来るものではないのですから。それでもどこかこそばゆさや後ろめたさが残っている、そんな気持ちを文章の所々から感じてしまいますね。

 作中に何度も「半分」という言葉が出てきました。ですがここで出てくる半分という言葉の真意を掴めたかといえば、正直自信がありません。「半分好きってことが一番好きってこと」とはどういう意味なのでしょうか。2人で楽しいも悲しいも嬉しいも寂しいも全て半分こにする事が喜びなのでしょうか?そうではないようです。お互いまだまだ半人前だから2人合わせて一人前になれる事が嬉しいのでしょうか?それも違うようです。最後までわからないまま読み進めでエンディング直前、ようやくその答えがわかった気がします。上で書いたみたいに半分の意味を追い求めるという行為そのものが、意味のないことだったんですね。半分も突き詰めればひとつになる。ひとつになった時、それが決して好きかどうか分からない。であるなら、一度半分にした中途半端な状態で止めてしまえばいいんですね。

 私はこの作品の中で一番言いたいことは「大きな勇気をもって進むことをやめよう」に含まれていると思っております。世の中はどうしても変化していきますので、個人個人も世の中に合わせて変わっていかなければいけません。それが社会というものであり、進んでいくことはもはや強制スクロールのようなものです。ですが、誰もがみんな同じように変われる訳ではありません。歩くのが遅い人もいますし、つまづいて転んでしまう人もいます。ではそんな人達はみな幸せになれないのでしょうか?そうであるなら、この世界はなんて息苦しい世界なのでしょうね。

 だからこそ「勇気を持って」「進むことをやめる」のだと思います。自分から意識して進むのを辞めるのです。これは主人公の転職経験があったからこそたどり着いた決断だと思いました。かつて勤めていた職場は残業も多くいわゆるブラック企業と呼ばれるものでした。そんな社会の荒波で生き続けることに疑問を抱いた事が転職のきっかけでした。そして転職先でもがむしゃらに働く事を意識的に避けてました。突然有給休暇もとります。半休も取ります。遅刻もします。一番は自分のペース。社会的にはダメな大人です。きっと出世できないでしょう。それでも、自分が何のために生きているかを見つける事が出来たのですから、ダメな大人で十分なんですね。

 だめな大人というフレーズもまたロリータシリーズの特徴でもあります。その表向きの意味は、まだ毛も生えていないいたいけな女の子とHする事に対してです。ですが裏の意味としては、社会の競争に付いていく事を諦めた姿だと思っております。全てのロリータシリーズでヒロインは妊娠します。まだ義務教育も終えていないのにです。この先冷たい視線に晒される事間違いありません。でもそれでいいのです。それが彼らにとって最も大切なものなのですから。世間体なんて関係ない。だめな大人で上等。作中でも「逃避」と言ってましたが、好きの場所に留まり続ける事が出来るのであればみんなそうしたいと思っている筈です。大切なのはだめな大人になる勇気ですね。意識を高く生きるだけが正解ではない、そんな事を思いました。ありがとうございました。


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