M.M リトルウィッチ×コンチェルト!




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
5 8 - 74 〜1 2018/3/28
作品ページ(なし) サークルページ



<ヒロインである菜緒の可愛さが、カラフルなBGMとフルボイスと沢山のスチルで鮮やかに描かれております。>

 この「リトルウィッチ×コンチェルト!」という作品は、同人サークルである「でじたるきゃっと」で制作されたビジュアルノベルです。でじたるきゃっとさんとお会いしたのはCOMITIA123で同人ゲームの島を周っている時でした。COMITIAは比較的同人ゲームサークルさんが少ないですので、ゆっくり回っても30分もあれば全て周る事が出来ます。その為、目に留まった同人ビジュアルノベルで完結しているものは基本全て手に入れる気持ちで参加しております。そして、意外とコミケ以上にCOMITIAやサンクリのようなイベントで初めて出会ったサークルさんの作品の方が印象に残る率が高い気がします。今回プレイした「リトルウィッチ×コンチェルト!」もまた、そんな印象深い作品でした。

 舞台は現実の世界とはちょっと違った現代の地球です。この世界には魔法が存在し、魔法の適性が認められた人は魔導学園に通い魔法を学びます。主人公来栖修一とその妹である来栖菜緒もまた魔法の適性があり、魔導学園で学びそれぞれの未来へ羽ばたくはずでした。ですが、時代は世界大戦の真っ只中でした。魔法を学んだ先に待っているのは、その魔法で人間を殺す道しかありませんでした。ですが妹の菜緒はそんな兵隊としての道を拒否しておりました。菜緒がなりたいのはリトルウィッチ、それは魔法によって様々な映像や音を表現し人々を喜ばせる仕事です。菜緒がリトルウィッチを目指す切っ掛けになった1つの出会い、そこから修一と菜緒の運命は決まっていたのかも知れません。自分自身と向き合う物語がここから幕を開けるのです。

 この作品の魅力、それはヒロインであり妹である菜緒の存在だと思っております。パッケージは白の背景の前で指を絡ませ無邪気に微笑んでいる菜緒の姿が描かれております。年相応の可愛さがあり、この姿に惚れた方であれば絶対に満足できます。その無邪気さそのままの性格で、物語を明るく彩ってくれるのです。また、この作品はヒロインフルボイスです。ボイスアクターの演技がより菜緒の可愛さを彩ってくれます。彼女がリトルウィッチを目指す理由、そしてそんな菜緒に対して兄の修一はどのように向き合うかを追うのがこの作品のテーマを掴む鍵になると思っております。

 またこの作品はBGMの多くがオリジナルです。まさに魔法の世界に入ったかのようなカラフルな楽曲ばかりでどれもお気に入りです。個人的にはタイトル画面で流れる「HappySisterDays」という曲が一番好きですね。菜緒の天真爛漫な様子全開でテンション上げてくれます。また、タイトルに「コンチェルト」あります通りこの作品でクラシックを欠かす事は出来ません。それはシナリオでもそうですがBGMの上でも勿論です。特に開始1分で華々しく流れる楽曲とスチルと演出は、ガッチリとプレイヤーの心を掴んできます。ここからこの「リトルウィッチ×コンチェルト!」という作品が始まるんだな、と華々しく主張してきました。菜緒が何故リトルウィッチを目指すのか、誰もが理解できる演出だと思いました。

 プレイ時間は私で45分でした。選択肢は僅かしかなく、分岐も殆どありませんので誰もが全てのエンディングを見る事が出来ると思います。上でも書きましたが、この作品はヒロインフルボイスとなっております。テキスト量も決して多くありませんので、時間に余裕のある方は是非全てのボイスを聞いて進めて頂きたいですね。何よりもBGMが素敵ですしスチルの枚数もプレイ時間と比べて多いです。作品の勘所と言いますか、ここぞというところで盛り立ててくれます。作品のテーマも明確ですし、ビジュアルノベルとはこういうものであって欲しいと強く思いました。現在フリー公開しておりますので、是非多くの方にプレイして頂きたいですね。オススメです。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<修一が弱さを受け入れ菜緒がリトルウィッチを披露する、それが見れただけで十分でした。>

 自分の弱さを受け入れる、私もそうですけど本当に苦手ですね。ですけど、自分の短所を理解すると凄く心が軽くなるんですよね。何故って、短所を理解してみると実は意外と大した事は無いって事に気付けるからです。自分のプライドと周りの視線を克服したとき、本当の自分が見えるのかも知れません。

 小さいときに見た姫坂雪菜のリトルウィッチからずっと自分の信念を曲げずに進んできた菜緒、その姿はとても輝いていて兄である修一にとってはとても眩しいものであったろうと思います。一方、修一は音楽の道を志すも将来を約束した音羽とは今生の別れとなってしまいました。その上で戦地からも逃げ、死ぬ事も出来ずに椎名の犬として細々と生きる事になりました。大好きなはずの音楽とオーケストラにも真剣になる事が出来ず、表面的な言葉だけの指導にオーケストラメンバーにも緊張感がありませんでした。緩やかに自分の人生を締めくくる、そんな事すら修一は思ったかも知れません。そんな時に沸いた菜緒の徴兵の話、いよいよ修一にも覚悟を決める時がやってきたのです。

 実際のところ、修一の活躍場面は殆どありませんでした。椎名との戦いでは一瞬で負けてしまい、地下に閉じ込められた2人を助けてくれたのは雪菜でした。オーケストラの根回しも段取りもきっと雪菜がやってくれたのでしょう。結局のところ修一は周りにおぜん立てしてもらった上でのリトルウィッチ×コンチェルトを迎える事になりました。まだ弱いままです。ですが、おかげさまで十分自分の弱さを実感する事が出来ました。その後椎名に咎められた修一はハッキリ言いました。「戦争には僕が行く、弱さを飼いならしてみせる。」と。このセリフを引き出すための物語だったのだと思っております。全然カッコいいところなんてなかった修一の、一番カッコいいところでした。

 そして、そんな修一と菜緒が作ったリトルウィッチ×コンチェルトは多くの人の心に訴えるところとなりました。それは当然ですね。何しろあれだけ明るくて楽しくて愉快なのですから。この作品の魅力を私は菜緒のキャラクターとBGMのコミカルさと言いましたが、やはりあのスチル1枚に込められた想いを無視する事は出来ません。魔法使いの格好をした菜緒、夜空いっぱいに降り注ぐ流れ星、そしてそんな空に向かう銀河鉄道と、その上で楽器を演奏する動物たち、いつの間にこれだけの技術と気持ちを身に着けたのでしょうね。こんな美しい景色、決して戦争でなんか作れませんね。3年たって少し成長した修一と菜緒の再会、これが実現できたという事は、本当の平和はもう目の前ですね。

 正直なところ、プレイ終了直後はもっともっとそれぞれの場面を深堀して欲しいと思いました。雪菜の活躍やオーケストラの裏側などを見てみたいと思いました。ですが、それらの気持ちが一周周って、もしかしたらこれで良いのではないかと思いました。弱い修一が自分の弱さを受け入れる、リトルウィッチを目指した菜緒が学園祭でリトルウィッチを披露する、それが出来ればもう十分ですね。少なくとも、修一と菜緒のリトルウィッチ×コンチェルトがこれから沢山見られる事間違いないと思います。そしてそのリトルウィッチ×コンチェルトが世界を包み、世界中から戦争は無くなってくれると信じております。ありがとうございました。


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