M.M ジェイルアイランド




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
6 7 - 79 6〜7 2017/3/17
作品ページ(R-18注意) サークルページ(R-18注意) エロゲと饗



<ゲームブックという遊び心満載の内容を余す事なく堪能し、全てのパラグラフを歩いて欲しいですね。>

 この「ジェイルアイランド」という作品は同人サークルである「なまくらな鞍」で制作されたゲームブックです。なまくらな鞍さんの作品はこれまでプレイした事がなく存じてもいませんでしたが、2017年のノベルゲーム部に参加されるという事で知る事が出来ました。ノベルゲーム部はCOMITIAの活動であるサークル部活動の1つであり、その名の通りノベルゲームを制作されるサークルさんで構成されております。そんなノベルゲーム部の部長であるぢょほほんさんに声を掛けて頂き、2年前からノベルゲームソムリエとしてお手伝いさせて頂いております。ソムリエとして参加するのであれば部活動に参加されているサークルさんの作品は全てプレイしたい、そんな想いと共に今回レビューしている「ジェイルアイランド」をプレイし始めました。

 この作品はいわゆる「ゲームブック」というジャンルです。ゲームブックとはその名の通り本の様な形態を取りながらプレイヤーの選択で様々なルートに分岐するゲーム要素を含んだもので、シナリオを読む事以上に選択やマップ移動、謎解きなどの要素がメインとなっております。具体的な構成ですが、作中に数百個のパラグラフが存在しそのパラグラフの最後に指定している要素に従って次のパラグラフへと進んでいきます。要素は直接次のパラグラフを指定しているものから、ミニゲームを解かせるもの、マップを指定するものなど様々で、プレイヤーはその都度考えて次の行動を選択していきます。最終的に一定のエンディングにたどり着いた時、振り返ってどの程度パラグラフを埋める事が出来たかが攻略の目安となっております。

 ジェイルアイランドもそのような一般的なゲームブックの形態を取っておりますが、そのゲーム性は非常に大きなものとなっておりました。次のパラグラフの選択は始めから開放しているものもあれば「鍵」がないと開放出来ないものがあり、ある程度マップを移動してみて改めて立ち戻る必要性があります。また鍵だけではなく「メモ」や「キーワード」といったものも存在し、物語の核心に迫るものやミニゲームの材料に使うものとなっております。単純にパラグラフを読んでマップを選ぶだけではエンディングにたどり着けないのです。更にキャラクターの着せ替えパーツといったものも存在し、ヒロインを自分なりにデコレーションする事も出来ます。

 特にミニゲームについてはそのバリエーションから難易度から様々であり、簡単に解けるものから頭を使うもの、テクニックを要するものまで富んでおりました。算数パズルを解くようなもの、ゲームブック全体のどこかに隠された答えを探すもの、手持ちのメモやキーワードから類推するものといった感じです。そしてこの作品はジェイルアイランド本体のアプリケーションだけではなく2つの付属アプリケーションが存在し、こちらは本格的な動的ゲームとなっております。マップ散策でクエストをクリアする、シューティングで特定の敵を倒すと次のパラグラフの番号が表示されるのです。とても手の込んだ内容であり、もはやノベルゲームと呼べるものではないと思っております。

 またこの作品は18禁です。Hシーンの数は何と40以上も存在し、その内容も和姦・強姦・青姦・ふたなり・百合・レイプ・NTR・3Pなどなど非常に富んでおります。これもまた特定のパラグラフを選択する事でたどり着くことが出来ますので、是非全てのシーンを見て欲しいですね。割と多くのシーンがバッドエンドだったりしますが、それはそれこれはこれです。またHシーンにもちょっとしたゲーム要素が盛り込まれておりまして、プレイヤーの判断でいつでも絶頂させることが出来るのです。そして絶頂のタイミングでCGも幾らか変化しますので、やり込み派の人にとっては二度おいしい内容ですね。

 惜しむらくはシナリオを振り返る事が難しい点があります。これはゲームブックという形態である以上避けられない事ではあります。どうしてもパラグラフを埋めたりマップを移動したりミニゲームを攻略したりする要素に集中してしまい、テキストやセリフについての吟味が疎かになりがちです。気が付けば場面が変わってしまう、何故このマップを選択しているのか分からなくなってしまうという事はしょっちゅうでした。ですがそういったゲーム要素を楽しむ事こそがゲームブックの特徴ですので、シナリオの吟味が疎かになっても最終的にゲームとして楽しめたのであればそれで正解なのではないなと思っております。

 プレイ時間は私で6時間30分でした。パラグラフを埋めるまでが5時間30分、ミニゲームに費やした時間が1時間といった感じです。ミニゲームも一部を除き難易度に関わらずクリアしないと先に進めませんので、難しいものはある程度時間を掛けて攻略してました。全部で5つの章に分かれており、大凡1時間で1章といった感じですね。ジェイルとは刑務所という意味です。そして主人公は女の子です。彼女は罪人なのでしょうか?それとも冤罪を被せられたのでしょうか?ジェイルアイランドとはどのような場所なのでしょうか?是非そんな想像を働かせながら遊んで頂ければと思います。面白かったです。


→Game Review
→Main


現在ネタバレのレビューはありません。見たい方も見たくない方も避難して下さい。