M.M 涼宮ハルヒの追想




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
8 6 8 85 12〜15 2018/3/3
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<あの懐かしいハルヒワールドを、そしてSOS団の楽しさを思い出させてくれるエンターテインメント性に溢れた作品でした。>

 この「涼宮ハルヒの追想」という作品は、2011年にバンダイナムコエンターテインメントでPS3・PSPから発売されたノベルゲームです。涼宮ハルヒシリーズについては、もはやここで説明する必要はないかも知れません。2003年に谷川流氏によって書かれた「涼宮ハルヒの憂鬱」から始まり、これまで11巻もの作品を出しているライトノベルシリーズです。マイペースな主人公キョンと天上天下唯我独尊なヒロイン涼宮ハルヒを中心とするドタバタ学園ものですが、その実は宇宙人・未来人・超能力者などが登場するSF要素もある、様々な属性が付加された内容となっております。とにかく涼宮ハルヒのキャラクターが圧倒的な存在感であり、彼女を中心とする独特の雰囲気が魅力となっております。

 2006年には京都アニメーションによってアニメ化され、これを皮切りに多くの人が名前を知る事になりました。原作の魅力を忠実に再現した作品構成、ハレ晴レユカイを始めとしたボーカル曲のお祭りとも呼べる騒ぎ、それらがダイレクトにヒットし世の中にハルヒブームを巻き起こしました。私自身、涼宮ハルヒシリーズを知ったのはこのアニメ化からでした。周りの友人らと一緒になって盛り上がり、例にもれずハレ晴レユカイのコスプレダンスを大学時代に学祭でしたり、聖地となっている大阪や神戸に巡礼に行ったのは良い思い出です。そこから原作の小説を読み始め、一通りの流れを理解していきました。現在涼宮ハルヒシリーズは最新刊である涼宮ハルヒの驚愕が2011年に発売しております。まだシナリオが完結しておりませんがここから新作が7年も発売しておりません。様々な伏線が投げっぱなしでもありますので、是非完結して欲しいといつまでも思っております。

 今回プレイしている「涼宮ハルヒの追想」は、シナリオ的には第4巻目である「涼宮ハルヒの消失」の続編的な位置づけとなっております。「涼宮ハルヒの消失」はシリーズの中でも非常に人気が高く、登場人物である長門有希に焦点を充ててこれまでのSOS団を取り戻すキョンの奮闘が印象的なシナリオです。その後は2010年にアニメ映画化され、また一つ涼宮ハルヒシリーズに新しい属性が追加された事になります。各キャラクターの別な側面も見る事が出来、益々の人気の高まりとなった切っ掛けになったと思っております。そんな「涼宮ハルヒの消失」の続編的な位置づけがこの「涼宮ハルヒの追想」ですので、シナリオ的には勿論「涼宮ハルヒの消失」を知っている事が前提となります。他にもメインキャラクターやサブキャラクターを含め殆どの登場人物が出ますので、基本的に涼宮ハルヒシリーズが好きでありファンである方が対象と言えます。2018年現在でプレイしても全然楽しめるものであり、懐かしい登場人物に色々な思い出が蘇ってきましたね。

 そしてこの作品をプレイする切っ掛けは、2017年の暮れに行った「自分が100本目にレビューする作品名を予想し正解したら、正解者がリクエストした作品1つをレビューします!」という企画によります(企画についてはこちらからどうぞ)。この企画で見事正解された方が4名おり、その中の1名が選択されたのがこの「涼宮ハルヒの追想」だったという事です。気づいている方は気づいていると思いますが、私のレビューの中で商業・同人問わず2次創作は殆ど出てきません。勿論「涼宮ハルヒの追想」は2次創作ではありませんが、原作であるライトノベルの派生と考えれば2次創作的と言えると思います。そんな「涼宮ハルヒの追想」です。こういう切っ掛けでもなければ自分でプレイはしなかったと思います。普段プレイしないジャンルの作品を紹介してくれた事に感謝しつつ、懐かしい気持ちを持ちながらプレイし始めました。

 舞台はSOS団が存在する時間軸とは切り離された時間軸の県立北高校です。キョンは、そこで行われる北高祭の2日間を繰り返しながら、自分が元の世界へと戻る為の方法を探す事になります。鍵となるのは「次元ブックマーカー」と呼ばれるアイテムです。キョンは、北高祭の2日間を回りながらこの次元ブックマーカーを集める事になります。そしてそれは、同時に分裂してしまったSOS団を再び結成させる行為となるのです。物語開始直後のキョンにとって、涼宮ハルヒ・長門有希・朝比奈みくる・古泉樹の4人は面識のない他人として認知されております。ここから幾つもの選択肢を選び、北高祭を渡り歩き、得られたアイテムを駆使する事で再びSOS団を結び付けて行きます。少しずつ修復される世界、繋がっているSOS団、その果てに何が待っているのかを見届けて下さい。

 一番の魅力は、次元ブックマーカーを集める為に見える化されたマップ移動にあると思っております。この作品では、キョンが選んだ選択によって分岐するシナリオが見える化されております。それはまるで1996年に発売されたSFアドベンチャーゲームの金字塔である「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」ので採用されているA.D.M.S(アダムス、オート分岐マッピング・システム)のようです。この作品には明確なエンディングは1つしか存在しません。それ以外のエンディングは全てエンディングではなく、再び北高祭の始めに戻る為の手順なのです。そして、「次元ブックマーカー」は北高祭のどこに戻るかをマーキング出来る存在としても大切な役割を持っております。プレイヤーは、限られた次元ブックマーカーを活用しマップの中を隅から隅まで歩く事が求められます。シナリオやキャラクターを楽しむと共に、是非全てのマップを歩けるよう頑張って欲しいですね。

 その他の特徴として、キャラクターの描写や声などは基本的にアニメに準拠しております。同じデザイン同じ声優ですのでアニメと全く同じ感覚で楽しむ事が出来ます。各キャラクターの性格を知っているあなたであれば、より効率的に目的のエンディングにたどり着けるかも知れませんね。他にもアイテム収集・スタンプ収集・スチル収集など様々な攻略要素があり、単純にゲーム性もあり楽しめるものとなっております。エンディングにたどり着いたら、そこから2周3周してそれらの攻略を目指すのも楽しいかも知れません。私はPS3でプレイしたのですが、動きは特にストレス感じる事もなく快適でした。途中読み込みの容量が大きい場面では気持ち待たされる感覚でしたが、それ程気になる事もありませんでした。そしてこの作品は、マップを何周もする性質上既読スキップを多用する事になると思います。面白いのが同じルートでも1周目と2周目でややセリフに変化が見られる点ですので。単純に既読スキップとはいきませんが、シナリオ上矛盾が無いように配慮されており細かい拘りだなと思いました。

 プレイ時間は私で13時間30分程度でした。そしてこれは物語上のエンディングにたどり着くまでの時間です。私自身、スチルは4枚ほど未回収でアイテムも1つ入手しておりません。その後再び全て入手しようとプロローグから再開したのですが、どうやらこの作品は改めてプロローグを選ぶと全ての既読情報がキャンセルされるみたいです。流石にここから同じルートを未読で辿るのは骨が折れますし、何よりもあの懐かしいSOS団の感覚を堪能できましたのでここまでかなと思っております。「涼宮ハルヒの消失」の続編という事で、長門有希にスポットが充てられたエンディングも印象的でした。そして、またここからSOS団は活動していくんだなという予感がありました。それを感じる事が出来ただけで十分楽しかったです。涼宮ハルヒシリーズが好きな方は勿論、それなりに知っているだけでもノベルゲームが好きな方であれば必ず楽しめるものとなっております。是非あの懐かしい気持ちを思い出してみて下さい。

 最後に、この作品にはミニゲームも幾つか収録されております。「着せ替えブロック崩し」というブロック崩し、「エンドレスファイト」と呼ばれる戦略ゲーム、「有希の365んち」というただ長門とぼーっとするアプリです。個人的にはエンドレスファイトが一番時間掛けました。とりあえず20日までは行きましたね。レベルアップは全て攻撃重視、隙あらば必殺技を打って部室はキョン1人で守るという腕力のみでやってました。今思えば、防御力あげた方が結果的にカードも使わなくて経験値増やせたかも知れないですね。どれもこれも、いつまでも遊べるコンテンツでした。


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