M.M Day and Dream




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
5 7 - 74 1〜2 2017/11/9
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<ハチャメチャな夢の世界と橘蒼奈のバカ可愛い姿を是非楽しんで下さい。>

 この「Day and Dream」は同人サークルである「吉秋寺」で制作されたビジュアルノベルです。吉秋寺さんの作品をプレイしたのは今作が初めてでした。C92で島サークルを回っている時に見かけた事が切っ掛けです。こう言っては失礼ですが、どこかバカっぽい女の子のパッケージがどうしても気になってしまい買ってしまいました。裏のあらすじを読みますと、案の定コメディのようです。このバカっぽい女の子とどんなハチャメチャが待ってるんだろう。単純にそれを楽しもうと思いプレイを始めました。

 この作品のタイトルは「Day and Dream」です。その名の通り「夢」というものが1つのキーワードになっております。主人公であるひととせは何処にでもいる普通の学生です。そしてひととせのクラスには、何故か彼の夢の中身を聞きたがるクラスメイトの櫻井夢香がいました。夢香もまたちょっとズレた女の子ですね。他人の夢の話を聞いて大袈裟過ぎるくらいにリアクションを取ってくれるのです。そんな夢と現実の両方を楽しんでいる主人公ですが、ある日やたらとリアルな夢を見てしまいました。そしてその夢の中に出てくる女の子こそが、パッケージに書かれている青髪でパジャマ姿の子である橘蒼奈です。いつもと違うリアルな夢、そこに出てきた女の子、この出会いから物語が動き始めるのです。

 この作品のジャンルはファンタジーコメディです。その名の通り、基本はコメディであり終始テンションの高いノリが続きます。まず冒頭、主人公が見る夢の中身がアホすぎます。実際夢なんて訳のわからないものですけど、それがリアルに再現されていて思わず笑ってしまいました。そしてそのままのノリで現実世界でもハチャメチャです。主人公の姉は辛辣ですし、上で書いた夢香のテンションも高すぎますし、休まる暇がありません。そしてそれ以上に橘蒼奈と一緒に過ごす夢が一番先が読めないのです。是非このハチャメチャな夢の世界を楽しんで下さい。

 その他注目するべき点として背景を上げさせて頂きます。この作品の背景は、実際の風景を加工したものを使用しております。もしかしたら製作者の実家なのかも知れません。背景に実際の風景を使用することはまあ普通ですが、これが夢の中でも継続しております。しかも、ちゃんと夢らしく現実ではありえない光景を再現しているのです。この拘りに思わず唸ってしまいました。夢なのに、現実の風景を採用し、リアルに加工している、考えてみればこの「夢なのにリアルに再現」という構図も面白みです。後はBGMの使い方が上手いと思いました。フリー素材ですが、場面にあったものを使用しております。加えてコメディらしくポップでテンションの上がるものを選んでおります。素直に上手いなと思いました。

 プレイ時間は私で1時間10分くらいでした。1時間ちょっとですのであっという間に終わってしまうと思います。ずっとコメディのノリが続きますので尚更です。ですが、エンディング直前は割と心に染みるエピソードも待っておりまして、良い意味でやられました。夢は楽しいですし、主人公はノリがいいですし、何よりもヒロインの橘蒼奈がバカ可愛いです。是非頭を空っぽにして、夢を詰め込める様に準備して読んで欲しいですね。実に同人ゲームらしい作品だと思いました。楽しかったです。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<同じ夢は決して見る事が出来ない。だからこそ、今目の前にあるチャンスを逃してはならない。>

 まさかエンディングで泣かせに来るとは思いませんでした。あれだけコメディで押してきたのに最後の最後でホロリとさせるのは正直ずるいと思いました。ですが、あのエンディングのお陰で蒼奈の事がますます好きになりました。蒼奈は唯のアホな女の子ではない、好きな人のことを一途に想い続ける普通の女の子でした。そんな姿が見れて嬉しかったです。

 私がそうなのですけど、楽しい夢を見たらまたその夢の続きを見たいと思ってしまいます。例えば好きな子と仲良くしている夢、昔の懐かしい人と遊んでる夢、そんな覚めないで欲しい夢を誰しも見ると思います。ですが、困った事に夢の続きって滅多に見ることが出来ないんですよね。いいところで目が覚めてしまって、何度も悔しい思いをした事でしょうか。そしてそのまま二度寝しても同じ夢なんて見れないのです。世の中には明晰夢というものもあるらしいのですが、是非自分も夢をコントロールしてみたいと常々思っております。

 今回主人公ひととせは夢の中で橘蒼奈という女の子と出会いました。そしてマンホールがひしめく夢の中で、その狂気から助かるために2人で街の中を逃げ回ります。ひととせにとって蒼奈は唯のアホっぽい女の子でした。ですが蒼奈にとってひととせは10年前に恋をした年上のお兄さんです。始めこの作品はひととせ視点で展開されていきますが、蒼奈の視点の方がメインなのではないかと思えました。もしかしたら、この作品の主人公は夢の中に希望を見出した蒼奈なのかも知れません。

 ですが、上でも書きましたが夢というものは滅多に同じ物を見ることは出来ません。ましてや、2人が同時に同じ夢を見て同じ世界を共有するなんて普通はあり得ないのです。特に蒼奈にとっては、この夢での再会は10年前に伝えられなかった想いを伝える千載一遇のチャンスでした。現実で会った年上の男の子と、しかも夢の中で再会するなんて余りにもロマンチックですね。だからこそ蒼奈はひととせの姿が見えなくなった時に死ぬ気で一生懸命探したのですね。もう二度とこのチャンスは来ない。だからこそ後悔したくない。そんな気持ちがあったのだと思います。

 そしてそれはひととせも同じでした。ひととせは蒼奈の事は朧げにしか覚えておりませんでした。それでも何かが気になり、蒼奈の事を探さなければと思いました。きっとひととせも心の中で、今頑張らないと二度と蒼奈と再会できないと思ったのだと思います。ひととせと蒼奈、2人がお互いを探したからこそ再会することが出来ました。そしてこの馬鹿げた夢の世界から脱出するために、真実の口へと立ち向かいました。そうしてたどり着いたのがあの日の商店街、そして越えられなかった踏切でした。この瞬間、再び時が動き出したのですね。

 結局のところ夢は覚めず、また訳のわからない夢へと移っていきました。蒼奈が決死の想いで伝えた言葉は残念ながらひととせには伝わりませんでしたが、それはこれからのお楽しみですね。暫くはまたハチャメチャなコメディが続きそうです。バカっぽい姿も一途な姿も、どちらの蒼奈も可愛いかったです。そして夢の世界を歩くのが単純に楽しかったです。さて、次はどのような夢が待っているのでしょうか。続きを楽しみにしようと思います。ありがとうございました。


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