M.M 堕落ロイヤル聖処女
シナリオ | BGM | 主題歌 | 総合 | プレイ時間 | 公開年月日 |
5 | 6 | - | 69 | 2〜3 | 2018/9/23 |
作品ページ(R-18注意) | サークルページ(R-18注意) |
<「つがいで甘堕ち純愛ADV」の名の通り、堕落しているヒロインの姿をじっくりと堪能しましょう。>
この「堕落ロイヤル聖処女」という作品は同人サークルである「夜のひつじ」で制作されたビジュアルノベルです。夜のひつじさんの作品はこれまで9タイトル程プレイさせて頂きました。様々なシチュエーションやジャンルを扱った18禁の作品を制作するサークルさんであり、唯のヌキゲーに終わらせず登場人物に意味を持たせたシナリオが印象的です。プレイ時間はどれも3〜4時間を想定しており、暇な休日を使って全て読み終える事が出来ます。それでもHシーンの数は非常に多く、どの作品も10以上は用意しております。実用性もあり、登場人物にも何かしらの愛着を持つ事が出来る作品ばかりで、それが多くのファンを生み出している理由なのかなと思っております。
今回レビューしている「堕落ロイヤル聖処女」は異世界転生ものです。主人公が転生した世界は、剣と魔法が存在し世界樹を巡り勇者と魔王が戦う舞台です。そんな世界に転生するという事が、きっと主人公が勇者なんだろうと皆さん思うと思います。ですが、主人公が転生したのは勇者とは程遠い庭師という職業でした。そこで聖女であるセイナの家庭教師役を務めながらマッタリとした日常を送っておりました。やがて魔王は別の勇者に倒されました。ですが、世界樹は残念ながら枯れてしまいました。自分は聖女としての役割を果たせていないのではないか、そして魔王がいなくなったこれからの国をどう導いていこう、そんな不安をセイナは抱えておりました。そこで、セイナはまずは人並みに恋をしてみるところから始めるのです。それが、堕落への道へ繋がっているとも知らずに。
夜のひつじさんの作品の特徴として、公式HPに書かれているあらすじで大凡の展開が分かるという点があります。それは恐らくそれぞれの作品がどのような性質で属性を持っているのか始めからハッキリさせ、プレイヤーとのマッチングを図る為なのではないかと思っております。巨乳が好きな人もいればロリが好きな人、様々な性癖を持っておりますからね。是非皆さんに合った作品をチョイスして頂ければと思います。そして今作の特徴は堕落です。純粋無垢で性的な物は何も知らないセイナですが、恋を知って男を知っていく中であれよあれよという間に堕落していきます。公式HPにも、既に堕落した立ち絵が公開されております。こういったギャップが好きな人にはたまらないのではないでしょうか。
この作品の魅力は言わずもがな、ヒロインであるセイナの堕落の仕方ですね。基本的に敬虔であり、国や民を思う気持ちは変わる事はありません。ですが、人間にとっての本当の幸せの在り方というものが徐々に彼女の中で変化していくのです。純真である事だけが幸福ではない、そんな本質は変わらないのに考え方が変わっていく堕落の仕方はとても興味深かったです。そして、そんなセイナの変化を求める気持ちに的確に応えていく主人公も見事ですね。この辺は、流石はエロゲの主人公といった感じですか。聖女という存在に対して物怖じする事無くガッツリと開発していきます。セイナが堕落した理由の殆どは主人公ですね。そんなエロゲらしい展開もまた楽しかったです。
プレイ時間は私で2時間20分でした。選択肢はなく、分岐を気にする事なく最後まで読む事が出来ます。上でも書きましたが、夜のひつじさんの作品には基本10以上のHシーンが収録されております。堕落ロイヤル聖処女も例外ではなく、テキストの半分はHシーンだった気がします。まずは純粋にHシーンを楽しめばいいと思います。その上で、徐々に変化し堕落していくセイナの姿や言動、そしてHシーンの変化にも注目して頂ければいいと思います。今更ですが、この作品のジャンル名ですが「つがいで甘堕ち純愛ADV」です。純愛ですのでエンディングを不安がる事もありません。難しい事は考えなくていいという事ですので、是非いつもの夜のひつじさんの雰囲気を楽しんで頂ければと思います。
以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。
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<自分が自信を持ってたどり着いた答えなら、決して崩してはいけませんね。>
ネタバレ無しでも書きましたが、夜のひつじさんの作品は基本的に公式HPでどのような作品が語られておりますのであまりネタバレ有りで言う事がないというのが正直なところです。メスに成り下がりながらも、高貴さだけは失われないセイナを堪能出来ればそれで構わないのではないかと思っております。ですが、実は私、最後までセイナのキャラクターを把握しきれなかったという反省があります。その点について、ネタバレ無しでは書いていこうと思います。
物語開始、セイナは純粋無垢な存在でした。国が救われ、それでも世界樹が枯れたこの世界をどのように導けばいいか悩んでおりました。ですが、それでもセイナの言動には所々に崩れた部分がありました。これは、きっとシナリオライターであるporori氏によるコミカル性を表現した方法何だろうなと思っております。ですが、個人的にはこの崩れた言動が割と常態化している掴みに非常に違和感を覚えてしまったのです。全然純粋無垢なんかじゃないじゃないかと。これは性に疎いかどうかという事ではありません。セイナという登場人物のパーソナリティの問題なのです。
もしかしたら、この子は始めから純粋無垢なんかじゃないんじゃないか。元々持ち合わせていた奔放な部分を、必死に隠してきただけなのではないか。そう思いました。実際、開始20分でいきなり全ての法を一旦破棄すると言った様子、人の目を気にする事なく街に出る様子、堕落したとはいえ何も躊躇いもなく娼婦の格好をして大衆の前で演説をする様子、ようやく解放されたのではないかと思ってしまいました。実際セイナがどのような性格なのかは、皆さんの受け取り方一つなのだと思います。結局は表面に提示された物から、推察するしかありません。初めから奔放な性格なのか、本当に主人公に変えられてしまったのか、それは1人1人が答えを持っていればそれで良いのかも知れません。
最終的にセイナが導き出した答え、それは「卑しい道徳こそが祝福されなければならない」でした。「卑しい」と「道徳」、相反する言葉ですね。ですが、これこそが同時に「愛」だとも説いておりました。絶対的な神さまは存在しません。ですが、神さまはあなたの身近にいます。これもまたセイナが説いた言葉です。何か絶対的な物を信じるのではなく、今隣にいる人を愛する事が大切でありそこに神は宿ると言っているのです。非常に即物的だと思いました。ですが、これこそが真実だとも思いました。日々の生活でも、遠くの偉人よりも近くの同僚の方を気にして大切にするのは自然な事です。たとえその結果「卑しさ」や「道徳」が混じり合ったとしても、それがたどり着いた答えなら是非祝福しましょう。その気持ちを大切にして生きていくしかないのだと思いました。
セイナは恋を知っていく中で堕落していきました。聖女の面影はどこへやら、最後は唯の娼婦のようになりました。ですが、それが恋を知り愛を知ったセイナの答えなら、もう認めるしかありませんね。そして、それを自信を持って民に説く姿は、やはり高貴でありカッコ良かったです。もはや、セイナとはどういう人物出たのかという問いに意味はありませんね。純粋な姿も砕けた姿も、そして堕落した姿も全てセイナのありのままの姿でした。大切なのは、そんなありのままの姿を隠さない事かも知れません。自分の価値観に自信を持ち、ブレない姿を持ちたいなーと私自身思いました。ありがとうございました。