M.M 第三中学シリーズ




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
4 6 - 55 〜1 2015/2/22
作品ページ サークルページ 第一話

フリーゲーム夢現
第二話

フリーゲーム夢現



<もう怒涛の展開と登場人物達の勢いに時が経つのも忘れてしまいました>

 この「第三中学シリーズ」は同人サークルである「Irupa-na Label」で制作されたビジュアルノベルです。Irupa-na Labelさんとは実はこれまでイベント等ではお会いしたことがありません。それでもこの作品をプレイした切っ掛けは、COMITIA112にサークル部活動として参加する「ノベルゲーム部」のメンバーにIrupa-na Labelさんがいたことでした。今回ノベルゲーム部の中で私も紹介役として参加する事になりまして、参加されるサークルさんの作品をプレイしない訳にはいかないという事で今回のレビューに至っております。

 主人公である山本はじめは中学一年生です。彼が通う第三中学は他の中学とは違った特色がありまして、言ってしまえば「やる気がない」という事です。生徒が問題を起こしても見て見ぬふり、成績も良くはないけど悪くもない、運動部は全て予選敗退、文系部は強いみたいですけどそれ自体目立つことではありません。そんなやる気のない中学で一つだけやる気のあるところがありました。やる気があるというよりも、常識外れなところがありました。それが主人公山本はじめが半ば強制的に入る事になった科学部の部長である橋本橋蔵でした。

 この作品の最大の魅力と言いますか、唯一の魅力はこの橋本橋蔵と主人公山本はじめの掛け合いですね。橋本橋蔵は本当に常識外れでして、唯我独尊、傍若無人、学校の全ては自分の為にあると思っている変人です。対して山本はじめは全くの平凡な学生であり、橋本橋蔵の毎日の訳が分からない行動に振り回されっぱなしです。その為山本はじめの悲痛な叫びは切実であり、加えて常識的ですのでプレイヤーの誰もが頷くと思います。やる気がなくて動かない教師陣に「仕事しろよ!」と訴え仲の良いクラスメイトに「どー考えてもおかしいだろ!」と嘆く様子は痛快でした。最後まで橋本橋蔵に振り回されるのか、それとも反旗を翻すのか、どんな結末になるか想像して欲しいですね。

 プレイ時間ですが私で45分くらいでした。この作品は全三話なのですが、一話で大凡10〜15分で読む事が出来ます。橋本橋蔵の圧倒的な勢いと常識外れな展開が怒涛のように迫ってきますのであっという間に終わってしまった印象を受けると思います。痛快でした。後は地味にBGMにセンスを感じました。やる気のない学校らしい軽快なBGMが多く、作品の雰囲気と合っていると思いました。また物語後半で激しい部分も登場するのですが相応なBGMでテンションを上げてくれました。全て無料でダウンロード出来ますので、ちょっとした暇つぶしの感覚でプレイしてみてください。


→Game Review
→Main


以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<山本はじめって、根っからの不幸体質なんじゃないかって思ってしまいますね。>

 正直ネタバレ有りで改めて書く事もないのですが、とにかく橋本橋蔵及びその一派の常識外れな行動が唯々楽しかったです。最終的に組織グルみの悪巧みだったという事で若干橋本橋蔵のカリスマ性が下がりましたが、それでもあの並外れた行動力と生命力は他の誰も真似することは出来ませんね。

 第三話辺りで登場した糸倉さんと人格強制マシーン、これが諸悪の根源でした。いくらやる気のない学校だからとは言え校内で爆破事件があって動かない事があるはずがありませんし、秘密裏にエレベータを作れるはずがありませんね。この作品、どこまでが常識でどこまでが非常識なのかを見極められるか否かでまた面白さが変わるのかも知れません。私は橋本橋蔵の傍若無人っぷりと第三中学のやる気のなさっぷりは全てネタでありこういうものだと早々に受け入れていました。だからこそ第三話の展開には正直「あ〜、やっぱ裏があるのね」って思いました。

 ですがそうであるならば今度は逆に橋本橋蔵をコテンパンに倒して欲しいと思いましたね。そしてそれは叶えることが出来ました。第三中学は正気に戻り、橋本橋蔵の天下は地に落ちることになりました。やっと平凡な学生生活に戻る事が出来ました。まあそれでも山本はじめにとって失うものは多かったですけどね。特に彼女である舞はかなりショックだったんじゃないでしょうか。まあ、自分から告白しておいてめんどくさい展開になったからアッサリと縁切りするような女という事が分かったので逆に良かったんじゃないかと思っております。

 という訳で感動のエンディングかと思いましたが、悪夢は続いておりました。県下トップの公立高校へ進学したかと思ったら再び橋本一派と再開ですからね。しかも糸倉さんが理事長である学校ですので今度こそ逃れることは出来ませんね。早々に転校した山本はじめの判断は賢明であり当然だと思いました。ですがその先の学校も糸倉理事長の手の内、果たして山本はじめに平穏な日々はやってくるのでしょうか。何だか山本はじめって、根っからの不幸体質なんじゃないかって思ってしまいますね。とまあそんなコメディらしいオチもついてある意味まとまった作品だと思いました。ありがとうございました。


→Game Review
→Main