M.M　女子高生探偵『朝島美奈子の推理日記』2

＜たんすかいさんらしいライトな雰囲気と、洗練されたUIが毎度お見事でした。＞

　この「女子高生探偵『朝島美奈子の推理日記』2」は、同人ゲームサークルである「たんすかい」で制作されたビジュアルノベルです。たんすかいさんの作品はこれまで幾つかプレイさせて頂き、そのどれもがミステリーとなっております。特徴として、とても丁寧にシステム周りを作られておりストレスフリーでプレイする事が出来ます。選択ボタンやウィンドウなどのデザインや配置にも工夫が見られ、ビジュアルノベルのお手本の様な作り込みです。また、ノベルゲーム作成以外にも勉強会やCDプレスなど同人ゲームサポート活動も精力的行っております。何か困ったことがあれば是非たんすかいさんに相談してみて下さい。きっと自分の作品を一歩前に進める手助けをしてくれると思います。

　今回レビューしている「女子高生探偵『朝島美奈子の推理日記』2」も、これまでのたんすかいさんの作り出す雰囲気そのままの作品です。タイトルに「2」とありますが、それぞれでシナリオは完結しておりますのでいきなり「2」からプレイしても問題ありません（私も同シリーズを「2」からプレイしております）。そしてタイトルに探偵とあります通りミステリーではありますが、主人公が女子高生という事でとてもライトな空気感が作られております。キャラクターはシンプルな感じのデザインで、多くの方に親しまれる絵柄だと思いました。プレイ時間も短めであり、様々な角度から見てお手軽にプレイ出来る作品です。

　しかし、シナリオそのものや謎解きは本格的です。バイオレンスなシチュエーションは登場しますし、登場人物の闇深さも垣間見れます。しっかりと登場人物の内面や行動を把握しながら読み進めていって欲しいです。また、途中幾つかの謎解きが登場します。これは単純に犯人を当てる物ではなく、ちょっとしたパズルを解く様な物です。例えば、現場にダイイングメッセージがありそれを主人公の代わりに解いたりします。難易度はそれ程高くは感じませんでしたが、仮に解けなくても救済措置がありますので積極的に解いていってみて下さい。物語や謎解きに没頭しているうちに、気が付けばエンディングにたどり着いている事と思います。読み応えがありながらお手軽にプレイ出来る、貴重なミステリーだと思いました。

　システム周りですが、本作品はiOS版もしくはAndroid版のアプリケーションをインストールする事でプレイ出来ます。皆さんお持ちのスマートフォンでプレイ出来るという事です。最近は個人でPCを持っていない事も珍しくありませんので、そうしたニーズを見越したプラットホームを用意しているのだと思います。また、作品プレイ中は主人公が入手した操作メモや登場人物のプロフィールを自由に見る事が出来ます。この辺りの軽快さはストレスフリーで、ユーザーインターフェースを考えていると思いました。生活の中のちょっとした時間でプレイ出来ますので、例えば一日10分とか、物語上の一日が経過したら終わるとかそんなプレイスタイルもありかも知れません。

　プレイ時間は私で50分くらいでした。私もスマートフォンの強みを生かして、通勤中の電車の中でプレイしてしまいました。ちなみに私は骨伝導イヤホンを付けてプレイしたのですが、BGMはそこまで主張してきませんので仮に外部の音がうるさくてもプレイへの支障は少ないと思います。1点注意が必要とすれば、途中の謎解きや犯人当ての場面で救済措置があるのですが、その為には飛ばす事が出来ない広告を見なければいけません。まあ、この辺りは作品が無料という事ですのでそういう物なんだと思いました。私は広告の間に頭の中で自分の推理を組み立ててました。普段あまりスマートフォンでビジュアルノベルをプレイしませんので、こういう広告はある意味新鮮でしたね（普通のスマホアプリはそんなものなのでしょうか？）。何れにしても集中力を切らさずエンディングにたどり着けましたので、皆さんもちょっとした隙間時間に遊んでみては如何でしょうか。楽しかったです。

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