M.M 十三階段の花子さん 磨




シナリオ BGM 主題歌 総合 プレイ時間 公開年月日
6 7 - 73 1〜2 2022/12/18
作品ページ(無し) サークルページ



<動きのある演出の中で、3人の可愛いお化け達の魅力が引き立つ作品です。>

 この「十三階段の花子さん 磨」は同人ゲームサークルである「BLUE AZALEA」で制作されたビジュアルノベルです。BLUE AZALEAさんの作品をプレイしたのは今作が初めてです。切っ掛けですが、私とcrAsmという個人サークルを運営している倉下さんで行っているcrAsM.M ビジュアルノベルオンリーに参加頂いた事です。crAsM.M ビジュアルノベルオンリーでは開催前にサークルさんの作品を紹介しており、BLUE AZALEAさんは今回レビューしている「十三階段の花子さん 磨」を紹介しました。プレイ開始から楽しい雰囲気漂う明るい作品で紹介時もほぼ後半までプレイしたのですが、最後まで出来ていませんでしたので今回改めて最後までプレイし直しました。冒頭の雰囲気そのままに、最後はどこかホッコリとした気持ちになる事が出来た作品でした。

 主人公のキザハシは、晴れてお化け学校を卒業しました。そしてその年の夏に、とある田舎にある義弓小学校のお化けとして赴任する事になりました。キザハシは「十三階段」のお化けです。皆さんも、小学校の七不思議の中に「普段は十二段しかないはずの怪談が十三段ある」なんて話を聴いた事がないでしょうか?そんな有名なお化けがキザハシなのです。義弓小学校には、他に2人のお化けがいました。キザハシよりも背が小さいけれど胸が大きいメアリ、メアリは「メリーさん」のお化けです。「もしもし私メリーさん、今あなたの後ろに居るの」は有名ですね。もう1人は引っ込み思案なオハナ、オハナは「赤マント」のお化けです。トイレで紙が無くなった時に「赤い紙欲しいか?青い紙欲しいか?」という声が聴こえてくる怪談の派生ですね。そんな3人の有名なお化けですが、みんな女の子らしく可愛い姿をしております。ここから楽しいお化け生活が始まるのですが、何やら不穏な出来事が起きてしまったみたいです。

 作品の雰囲気は本当に見たままで、3人の可愛い女の子がドタバタしながらも協力して目的を達成する様子が微笑ましいです。性格もそれぞれ個性的で、グイグイ突っ走るキザハシ・リーダーシップを発揮する先輩のメアリ・引っ込み思案だけどやる時はやるオハナが良い具合いに噛み合っております。基本的に仲良しですからね。お互いがお互いの事を信じておりますので、3人とも自分らしさを発揮できているのが良いと思いました。途中「怪異」を発動する場面があるのですが、その説明もビジュアル付きで大変分かり易いです。この辺りは、彼女たちは本当にお化けなんだなとハッとさせられました。総じて悲観的な雰囲気はなく、厳しい場面がありながらもポジティブに取り組んでいく様子が魅力だと思いました。

 BGMも場面に応じて使い分けており雰囲気を作ってました。割と主張するBGMでしたが、マッチしていたので上手く嵌っていたなと思っております。日常の場面、不穏な場面、怪異を発動する場面、戦闘の場面など、種類も多く楽しめました。効果音も非常に多く、特に感情の揺れ動きに合わせてSEが飛び交いますのでまるでアニメを見ているかのようでした。背景描写もコロコロ変わり、総じて動きのある演出が特徴的と思いました。怪異を使う場面など、やはりビジュアルで表現してくれた方が理解が進みます。その辺り工夫されている様子でした。登場人物のセリフ回しが可愛いですね。サンプル画像でも見る事が出来ますので是非その可愛さを味わってみて下さい。

 プレイ時間は私で1時間10分くらいでした。選択肢は無く、1本道でエンディングまでたどり着く事が出来ます。物語としてはそこまで長くはありませんが、動きのある演出と登場人物達の掛け合いが楽しくて気が付けば1時間経過していました。この作品は、元々「十三階段の花子さん」という作品がありそれをリメイクした物だそうです。この辺りはあとがきで書かれておりますが、微妙にセリフ回しなどが違うみたいですのでオリジナル版をプレイして見るのも良いかも知れません。また続編にあたる「十三階段の花子さん2」も発表されております。今作品では3人の能力や性格などが分かっただけですので、是非続編もプレイして更に深く彼女たちを知りたいと思いました。とにかく楽しい雰囲気です。是非皆さんにも可愛いお化け達の掛け合いを楽しんで頂きたいです。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<誰もが憧れるトイレの花子さん、次になるのは君たちかもしれませんね。>

 最後までプレイして、ちょっとホッコリする終わり方だなと思いました。哭心鬼の暴走を止めたのは勿論凄いですが、そこに初代トイレの花子さんが関わっており皆協力して事を成し遂げた様子が素敵だと思いました。お化けも悪くないなと思ってしまいました。

 やっぱり、学校の七不思議と言えばトイレの花子さんが一番有名だと思います。トイレという日常的な場所に生じる周りから遮られた個室、そこに誰もいない筈なのに声がしたらそれは恐ろしいと思います。おかっぱ頭・赤い釣りスカート・白いワイシャツといった姿も比較的全国共通であり、それだけ影響力のある怪談なんだなと思っております。だからこそ、お化け達の中でも憧れの存在であり、トイレの花子さんになりたいと思う気持ちは微笑ましい物がありました。そんなトイレの花子さんと一緒に戦えたのは、大変な名誉であり嬉しい出来事でした。

 ただ、トイレの花子さんにしてみれば気が気ではなかったと思います。何しろ、自分の孫娘が殺されそうになっているのですから。トイレの花子さんはもう一つの校長室でずっと見守ってました。割と近くにいたんですね。普段は何も言わず佇んでいるだけのトイレの花子さんでしたが、ここぞという時は姿を現してくれました。私、3人がトイレの花子さんの衣装を見つけたのは偶然では無いと思っております。きっと、自分の孫娘の危機を察知して手を差し伸べてくれたんじゃないかと思っております。最後は4人で哭心鬼を倒す事が出来ました。

 そして、新人のキザハシがいきなり伝説のトイレの花子さんになれる展開も熱いと思いました。この作品、登場人物に悪い人が誰もいないのが本当良いなと思います。もしかしたら、メアリもオハナもトイレの花子さんになりたかったのかも知れません。ですけど、自分にはちゃんと役割があるんだからトイレの花子さんはキザハシしかないと皆が納得して最後の決戦に挑みました。この辺り、皆素直で実直で仲良い感じがして良いなと思いました。そして十三階段の花子さんというタイトルもきれいに回収されました。本当美しくまとまった作品だなと思いました。

 恐らくトイレの花子さんは成仏(?)したのではないかと思っております。衣装が光になってしまいましたからね。つまり、これでトイレの花子さん枠は空いたという事です。今度は3人とも実力でトイレの花子さんになれる訳ですね。怪異の性質から、トイレの花子さんの技はトイレの花子さんでなくても使えます。これからはそんな感じでトイレの花子さんの意思が受け継がれるのかなと思いました。この3人であれば、きっと間違った方向で技を使ったりはしませんね。これからも仲良く楽しいお化け学校生活が続いたらと思いました。ありがとうございました。


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